Past Scholars of Satoko and Richard Ingram McGill Surgical Education Scholarship
2020.4 - 2022.3
京都大学呼吸器外科
徳野純子 先生
こんにちは、京都大学呼吸器外科所属の徳野純子です。関連病院での呼吸器外科手術の修練後、京都大学大学院で手術のシミュレーションに関する研究を行って参りました。その経緯で、日本外科教育研究会に参加し、以前から興味があった、いかに誰でも安全に行えるようにするか、いかに手術をやりやすくするか・やりやすい方法で行うか、ということについて、さらに深く勉強したくなりました。そこで、充実した設備と、外科教育に熱心なスタッフに恵まれた、北米でも随一の環境であるマギル大学のことを知り、是非ここで外科教育を学問として一から学びたいと思い、志願しました。そして、幸運にも、マギル大学大学院外科教育学修士課程で学ぶ機会を頂き、大変光栄です。
これから、新専門医制度や働き方改革の影響で、若手のトレーニングや手術のやり方そのものについて、日本の外科には大きな変化が必要とされる可能性が高いと存じます。私がこれから学ぶことが、将来そこへ貢献できるように、努力したいと思います。今回の留学に際してお世話になる日本外科教育研究会、また快く送り出してくれる京都大学呼吸器外科教室に感謝し、私のご挨拶とさせて頂きます。
2018.4 - 2020.3
倉敷成人病センター
羽田智則 先生の留学体験記
2018年4月からカナダ・モントリオールのMcGill大学に手術教育研究の勉強のため、2年間留学させて頂きました。外科教育研究会のサポートを頂き、また、留学先でも多くの方々から、応援して頂き、助けて頂き、無事に帰国することができました。
今回はその留学で感じたことの一端をご紹介できたらと思います。
私は産婦人科医ですが、McGill University Health Centreの外科に所属して、外科教育研究を勉強しました。Fried教授からは興味のあること、何をやっても構わないと言って頂けましたが、いろいろに興味がありながら、何をどうしていいか分からない状況でしたので、とにかく色々なものに触れて、見て、が最初の段階でした。
手術手技の評価について一緒にやる友人ができて、結局のところメインテーマは産婦人科手技と評価について研究しましたが、その間でも、Review論文を書いている友人から日本語論文(麻酔科系)を多数渡されて、全部英語に要約してくれと頼まれたり、Ta-TMEの縫合モデルを作った友人からは縫合結紮の評価をしてくれとか、Webを利用した遠隔での縫合結紮手技のコーチの一人になってみろ、だの色々なことを一緒にさせてもらいました。
病院のある場所は違うのですが、McGill大学の産婦人科のGrand Roundsにも毎週木曜朝には参加し、産婦人科で行われている研究などにも触れられました。私も一度時間を頂き、50分の発表をさせてもらいました。その後から多数の先生に声をかけて頂けるようになり、また、産婦人科でやっているシミュレーショントレーニングでもレクチャーを担当することになり、発表からいろんな機会が広がりました。
教育研究は大抵の日はパソコンで完結するので、研究室に来る人間はほぼおらず、毎日朝から晩まで孤独を感じる日々でもあり、英語なんて一日一言も話さない日もままあり、自己との闘いに悩む日々でもありましたが、自己を見つめなおすよい時間でもありました。
妻と4人の子供(中3、中1、小5、小1)とで渡加しましたが、子供達は現地校で日々揉まれ、苦しい2年間だっただろうと父親ながら不憫に思ってもおりましたが、何より、単一民族国家である日本を離れて、マイノリティーとして多民族・異文化国家で暮らした経験は、きっと彼らの財産になっていると思ってもいます。
本留学を陰になり日向になりご支援下さっているRichard and Satoko Ingram ご夫妻には本当に家族全員でお世話になりました。看護学部の授業やシミュレーションセンターの見学や、各方面で教育に従事されている方々との面談をとりもって下さったりして、普通では会えない方々から色々な意見をうかがえることができました。教育だけでなく、リーダーシップやマネジメント、リクルートについて考え方を伺えたのは参考になりました。
また、モントリオールアカデミー会という日本人の留学生会にも参加し、他の学問をされに来ている方々との交流は日本でもないものであり、多くの刺激を頂きました。
3月の帰国の便は前から押さえてはいたのですが、COVID19禍によって状況が急速に変わり、帰国2日前にはカナダへの入国禁止措置となり、近隣のレストランはテイクアウトのみになり、街の雰囲気が日に日に変化する中、なんとか出国できたことがラッキーでしたが、残って留学している友人たちを常に心配しています。
鬱々とした日々が多かったのも事実ですが、ASE学会で星先生、倉島先生やサシーム先生と話したり、渡邊祐介先生もモントリオールまで顔を出して下さったりと、多くの先生方の心遣いのおかげで、2年間乗り切れました。カナダに住むと、日本の良さが分かり、日本に住むと、日本の暗部にも目がいきますが、結局何においても自分次第であり、視点をどこにおくかで違ってきます。この留学の経験をこれからの仕事や生活に少しでも役立てるよう、これからまた一歩ずつ前進していきたいなと思っております。
トレーニングで日々使用されるシミュレーター
看護学校のシミュレーションセンターと看護学校での授業風景
産婦人科Grand Rounds
2016.4 - 2018.3
帝京大学千葉総合医療センター外科
遠藤 悟史 先生
はじめまして。帝京大学ちば総合医療センター外科の遠藤悟史です。私は医師12年目で初期研修医制度が始まった初年度の学年でした。そして初期研修から外科後期研修までは6年間亀田総合病院で研修し、その後母校である千葉大学先端応用外科に入局し外科医として研鑽して参りました。医局制度及び医局外での外科研修の両方を経験し、いずれの長所短所も見ることができ、そこで良い外科研修・外科教育とは何かをずっと考えて参りました。今回はMcGill大学のMIS (Minimally Invasive Surgery)教室で外科教育研究に従事することになり大変光栄です。日本の外科教育に貢献できる事を目指し努力して参ります。