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日本の卒後医学教育のシステムは、過去20年で初期・後期研修の制度が整備され、2018年度から新専門医制度が導入された。またインターネットの普及により、マルチメディアを用いた教育が一般的に行われるようになった。このような状況の変化により、一見すると指導医・研究医双方にとって臨床現場での教育が効率的に行いやすくなったような錯覚に陥るのであるが、日常業務に忙しい臨床医の大半は迷いながら手探り状態で教育をしている。一方米国では1890年代よりJohns-Hopkins大学で始まった、講義中心ではなく臨床現場で教育する臨床教育が医学教育の根幹をなし、その教育の技術は教育機関で働く臨床医にとって必ずマスターしなければならないものとなっている。

この講習会の狙いは短期集中型のワークショップで、成人教育の理論に基づいた外科臨床教育の基本知識を包括的に学び、明日から使える技術を習得することである。対象は臨床現場で医学生や研修医・修練医を教育している外科医であり、過去の指導者講習会受講経験などは問わない。

基礎コースでは教育のプログラムの作成に必要な基本的な知識、技術を学び、さらにそのプログラムを実際に実践して行くための知識、技術を習得することを学習の主眼としている。

アドバンスドコースでは評価を含め実際の臨床教育現場で遭遇する様々な問題、医学教育者として必要なキャリアディベロップメントツール等を取り上げ、基礎コースで学んだ知識と技術をさらに深めることを目指す。

ワークショップは理解を深めるために参加型の形式になっており、積極的に質問をし、議論に参加することを促すように作られている。またこの講習会にて得られた人脈を今後、教育の場で起こる問題の解決や、臨床教育研究のサポートを得る機会として生かしていくことをも目的としている。

到達⽬標

コース終了時に参加者は

  1. 成⼈学習の理論に基づき評価可能な到達目標を伴った教育カリキュラムを作成、実行できる
  2. 日々の臨床の場で効率よく、かつ効果的に臨床教育を⾏うための教育手法を体得し、使用することができる
  3. ⾃⾝のワークライフバランスを⾃覚し、教育施設のリーダーとして施設の教育に対する⽂化を変えて行くことができる

概要


卒後医学教育の変革に伴い、臨床の現場で効率よくかつ効果的に学生、研修医を教える臨床医に対する必要性が⾼まっている。一般的に臨床に携わる外科医はトレーニングの課程に於いて医学教育手法につき系統的な教育を受けておらず、手探り状態で教育を行っているのが現状と思われる。このコースは一般のFDコースと異なり、2⽇間の日程で包括的に医学教育の基礎を学び、外科系医師に特化した実際の臨床の現場で明日から使える教育技術を取得することを⽬標にしている。

内容

アダルトラーニングカリキュラム作成ニーズ分析ゴールと到達目標
教育手法講義・プレゼンテーションフィードバックマイクロスキル
手術室での教育リーダシップカルチャーを変えるタイムマネージメント
プライオリティー

Basicコース参加者の声

参加しようと思った動機は?

消化器外科 1997年卒

・これまで外科医教育としては,職人気質で【自学自習】,【見て覚え,その手技をそのまま踏襲】などが基本で,厳しい指導を行ってきました.
・上記指導方法は現在の若い先生には適していないと感じています.また,手術時の自身のイライラを感じる機会も多く,手術中の雰囲気も悪く,これではいけないと感じました.
・【理想的な外科医教育】を学びたい,自分を変えたいと常日頃から感じていました.

消化器外科医 2003年卒

今年度から外科専門研修プログラムの責任者になってしまったが、教育理論について知識が乏しいことを自覚していたため。
また、指導医として今の若い人達と関わることに悩んでいました。

耳鼻科 2006年卒

一度きちんとした外科教育の知識を得たいと思っていたので。

産婦人科 2014年卒

・以前参加された先生方のSNS上での発信を目にしたこと。
・教育する側から若手医師と関わる機会が徐々に増えてきて、セミナー運営等も始めるようになり、より効率的で満足度の高い教育をしてあげたいと思うようになったこと。
・日常臨床や手術現場など、特殊な制約のある状況における教育手法について問題意識をかねてより抱いていたこと。

形成外科 2013年卒

段々と医師年数が上がるに連れて後輩を指導する機会が増え、施設内でもその中心的な役割を担う場面も出てきている。自分が若手だった時の指導のされ方を参考に(時に反面教師として)これまでに指導に当たってきたが、経験則に頼っており体系的学んだことがなく、指導方法に悩むことが多かった。 そんな際に本ワークショップの開催を知り、チャンスだと思い申し込むに至った。

終了時の感想

呼吸器外科 2008年卒

盛りだくさんな内容で非常に満足です。
同じ悩みを参加者が持っているということが分かったこと、それに気づいて色々意見が聞けたことがよかったです。ありがとうございました。

産婦人科 2011年卒

実績を残されている先生方も、立ち上げ時・変革時は苦労され、耐えて今があることがわかりました。
教育は奥が深く、絶対の正解はないのではないでしょうか?
ただ本セミナーが外科教育の1つの道標になります。論理的な講義を聞き、大変勉強になりました。これからもよろしくお願いします。

泌尿器科 1998年卒

Facultyの先生も含め、このワークショップに参加された先生方が、どのような教育改革を成し得たのか、いつか知りたいと思います。

耳鼻科 2013年卒

今まで感覚でしか捉えていない教育の理論がなんとなくでも考えることができて、大変勉強になった。
トライアンドエラーで今後も繰り返したいと思います。

消化器外科 1997年卒

非常によかったです。ぜひ、皆さんにおすすめしたいです。

産婦人科 2004年卒

指導医自身がより良く生きることが教育につながっていくという、当たり前かもしれないことに、自分は全く気付いていませんでした。プライオリティとタイムマネジメントは、とてもショックな内容でした。明日から、頑張ってより良く生きていこうと思います。

消化器外科 2010年卒

知らないことが多い中、2日間のワークショップに参加しすごく達成感があった。
3ヶ月後にフィードバックしてくれるということを聞いて、やる気が出た。

アドバンスコース参加者の声

アドバンスコースでの目標は?

産婦人科・2010年卒

・周りが見放しがちな若手を、どのように寄り添って教育出来るかを現在模索しています。その解決の糸口を見つけて帰りたいです。

整形外科・2007年卒

・教育手法(例えば、フィードバックや評価など)はもちろんですが、それ以上に学生を引き付ける実習とするためにはどうすれば良いのか、どちらかというとマネージメントや管理について理解し、実際に使用できるようになることを目標としています。

消化器外科・1995年卒

・自施設の教育システムをアップデートすることで、より精神的にも豊かな外科医環境(学習者、指導者ともに)を整える。最終的には研修希望者を増やし、外科専修医を確保して育てたい。

消化器外科・2008年卒

・当院では指導医の評価があまりなされていないので、評価法を学び、実際に導入したいです。ワークショップで学んだこと(興味あるセッションばかりです)をすぐに現場で活かしたいです。

産婦人科・2009年卒

・楽しむこと。現時点での教育の悩みを解決すること。

終了時の感想

泌尿器科・1996年卒

・ワークショップ全体の構成もよく練られていて、時間配分も適切だったと思います。大変充実した時間が過ごせました。ありがとうございました。

整形外科・2007年卒

・星先生の歩き回りながら受講者に語りかけるスタイルは、リラックスしつつも適度な緊張感も生まれて個人的にはとても好きで、学生講義の時に取り入れるようにしています。 倉島先生はとても穏やかな語りかけで、話が頭に入ってきやすいです。講義を聞いているだけで癒されます。 磯部先生は教授になられましたが、裏話など笑いの要素もあり親しみやすくて引き込まれます。他のスタッフの先生方も温かく接してくださり、楽しい時間でした。まさにEQが高いチームなのだと感じました。 引き続きこの勉強を活かしていきたいと思います。2日間ありがとうございました。

消化器外科・1994年卒

・ベーシックと較べて、アドバンスコースは内容がadvanceなものであることを実感しました.今後は行動に移したいと思います.ありがとうございました.そしてこれからもよろしくお願い申し上げます.

消化器外科・2010年卒

・様々な施設の先生方のお話や講師、アシスタントの先生方のコメントなど非常に勉強になりました。 実際に自施設でなにか出来るようにしていきたいと思います。

形成外科・2013年卒

・今回も非常に勉強になった。前回と繋がる部分が多く、さすがアドバンスコースと感じた。毎年受講したいが、教える側に回れるように努力しようと思う。たくさんの同じ目標を持った先生方とつながることができ、感謝してもしきれいない。